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不親切だが、温かい写真集『A pound of Pictures』アレック=ソス(2022)

4 日前
読了時間: 2分

A Pound of Pictures      Alec=Soth
A Pound of Pictures Alec=Soth



『A pound of Pictures』は、アメリカの写真家 Alec Soth が2022年に出した写真集です。彼はおもに北米大陸の中西部を旅し、行く先々で出会った風景・静物・人物を撮影して、それらを66点にまとめてこの1冊の本にしました。

タイトルは、直訳すれば「総重量1ポンド(約450g)の写真たち」となりますが、これは彼の意図するものではないでしょう。おそらく「ざっと一掴みの、取るに足らない写真たち」といった意味のタイトルだと私は思います。


確かに66点の写真を見通しても、訴えたいメッセージや読みとってほしいテーマなどは浮かんできません。せいぜい「アメリカ内陸部に点在する中核都市の街角の様子や近くにある自然(森林や滝)と、そこの人々の生活の一部が何となく伝わってくる」くらいのものです。


写真集『A pound of Pictures』は、作者の考える脈略がわかりやすく伝わるような順序で写真が収められた本ではありません。都市風景写真・ポートレート・街角にある静物を捉えた1枚などが一見すると無造作に並んでいるように感じます。

風景写真集でもスナップ・ポートレート集でもない、つまり分類ができないものに、この本は仕上がっています。総数66のうち人物が明確な主題となっている写真(ポートレート)が12点。残りは、人が写り込んでいても、風景か静物が主題の写真です。


アレック=ソス自身の狙いが何であれ、このような本の構成に私は関心を持ちました。

たとえば、交差点の歩道脇にある植え込みの端の木枠に腰掛けている、髪を赤く染めた黒のスウェット姿の女性や、夜になって明かりの灯る部屋の窓が見える、レンガ壁のアパートの外観や、大きな一軒家の立ち並ぶ私道に寝そべる2匹の犬など — ただ見ているだけでは写真のあいだの必然的な因果関係などわかりません。

そこで私は、彼の内部にある「私が見た」という接点だけでこれらが隣り合っていると想像して写真を見るようにしました。すると、不思議な魅力が湧いてきました。

時間も場所もバラバラな風景・人々・街角のオブジェクトの写真が「撮影者が見た」という事実だけを共通するものとして集められているのだとしたら、テーマやメッセージなど不要だと思えてきます。そして、本を見ているとき、あらためてタイトルの『A pound of Pictures』が、写真の意味へと私の想像力を掻き立てます。


縦横25×30センチの、「a pound」どころか1.4キロもあるこの写真集が、今も私の部屋の本棚の中で、手に取って開かれるのを待っています。


こんな1冊を、いつか私も作ってみたいと思います。

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